Pusher症候群を呈した脳卒中片麻痺患者の原因と治療戦略

リハビリについて
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いんよー
いんよー

挑戦的なタイトルですが,リアルな現場,経験からお伝えしてい行きます.

少しでも皆様の臨床に役立ちますように・・・

Pusher症候群をかみ砕いて理解する

脳卒中で良く見られるプッシャー現象とは臨床で良く出くわします.

特に左片麻痺の患者に多いですよね.

つまり,

空間認知が低下している

左半側空間無視

左の身体図式(ボディースキーマ)が低下している

場合に多いと考えます.

あとは2つパターンがあると考えます.

伸展パターン

or

屈曲パターン

です.

以下説明していきます.

プッシャーの伸展パターンとは?

言葉が正しいか分かりません.すみません.

要するに伸展活動の方が優位.

この場合,突っ張ることが多く,

特に起き上がり,座位時に伸展活動が高くなります.

後ろにのけぞってしまいます.

この場合

  • 麻痺側の筋の低緊張
  • 保護伸展反射が出にくい
  • 視覚的(視空間認知)な問題による恐怖心

などがあげられるかと思います.

特に座位が安定していない場合

安定しない座位に向かって

起き上がり動作が開始されてしまいます.

プッシャー屈曲パターンとは?

逆に前に前に倒れてくるパターンもありますね.

これは

  • 反力情報が少ない
  • 非対称性緊張性頸反射(ATNR)様に反応してしまう
  • 左側の大殿筋,ハムストリングスが低緊張

などが上がります.

特に2番目の現象は多いように感じます.

伸展パターンの治療戦略

伸展パターンに対しては

私の場合

頸部から姿勢コントロールをしていきます.

起き上がりから頸部を伸展させてしまうと

背部筋が過活動を起こします.

なので

背臥位の状態から頭部を把持し,屈曲方向へ誘導し少しずつ腹部の活動を高めていきます.

これだけでも

起き上がり後座位での伸展活動が抑制されます.

あとはフロントレストをさせる.

車椅子,ベッド上であれば常にバックレスト(背部で休む)状態ですので

オーバーテーブルなどを使用してフロント(前方)で支持させます.

そこから能動的に重心を前後方向に動かしてもらいます.

その中で体幹筋の活動,切り替えを賦活していきます.

また

前方にテーブルがあることで

視覚的にも恐怖心が低下します.

そのためバックマッスルが抑制されやすくなります.

屈曲パターンの治療戦略

屈曲に入りやすい場合は

原始反射的に

屈曲痙性が高まりやすい可能性があるため

どんどん麻痺側に引っ張られていく印象を持ちます.

なので

非麻痺側下肢をどんどん外側へ拡げ,綱引き状態になると考えます.

この場合

麻痺側の股関節屈曲を強めて,反力情報が入りやすい状態を作る

or

麻痺側膝を伸展してハムストリングスの張力を高めて骨盤を止める

と座位が安定することが多いです.

前者は足台を使用

後者は膝を伸展して,下肢を前方に持ちあげたりします

(※ハムストリングスの伸長痛を伴うことがあります)

またやっかいなのが立位時に麻痺側の伸展活動が得られにくいこと

ですが

これは長下肢装具を使用する

ことが臨床上多いのではないでしょうか.

例えば,長下肢装具を使用した中で

壁に寄りかかり立位をするなどは有効かと考えます.

プッシャーに対する注意点

プッシャーに関しては

非麻痺側の過使用による

肩関節の可動域制限

腰痛

が起きやすいです.

常に姿勢保持を過緊張状態で強いられるため

肩甲帯の挙上

腰部の過使用が多く認められます.

特に

肩関節の屈曲制限を起こしてしまうと

屈曲に伴って体幹の側屈が起きますので

より非対称性が強調されますし,プッシャーが強くなります.

特にトイレ場面では手すりを把持する際

上方へのリーチが姿勢を崩す原因になります.

しっかり,非麻痺側の肩関節の可動域を管理しましょう.

以上,簡単ではありますが

臨床の現場から

プッシャーに対する思うことを綴りました.

少しでも参考になれば幸いです.

シーユーアゲイン♪

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